癒しの禅空間「正思惟斉製茶」
【◎文/李暁萍 ◎翻訳/有田夏子 ◎撮影/Cindy Lee】
都市の雑踏に、こつぜんと現れる静謐な禅空間。高雄駅付近の古い街角で長年放置されていた2階建てのトタン建築をリノベーションした「正思惟斉製茶」の店舗は、そのすぐれた建築技法と芸術性が評価され、米国の「Architecture Master Prize(AMP)2022」やドイツの「Iconic Awards 2023」など、国際的な建築アウォードを次々と受賞した。
建築デザインのコンセプトについて、店主である林東献さんに尋ねると、「アーティストである劉耿一氏の台南郊外にある個人美術館を訪れたとき、天窓が自然光を取り入れ、気流や温度を調整する役割をはたしているのを見て、とても感銘を受けました。そしていつか、このような茶の美術館を開きたいと思いました」との答えが返ってきた。
建築の内外をつらぬくメインインスピレーションは「茶」。新たな外壁で建物の動線が変更され、北側の入口にはゲストを玄関まで導く竹垣、玄武石の板石、白玉砂利が施されている。澎湖諸島の砂を用いた外壁は優雅なカーブが美しい。建築のあちこちに見られる「入」の字をモチーフとしたデザインは、「人の入口であり、茶の入口である」ことを意味しているという。
外壁は現代建築でよく見られる打ちっぱなしのセメントではなく、白色セメントに澎湖諸島の白砂を混ぜた被覆が施され、素朴で温かみのある手触りを残している。澎湖の砂を用いた建材は、断熱性と防音性にすぐれ、多孔質の特色をもつことから空気中の湿気を吸収し、建物の呼吸を助ける。林さんは「実際に住んでみたところ、冬は暖かく、夏は涼しく、風通しも良いんです」と笑顔を見せた。
林さんは製茶に携わって約40年、発酵度の低い高山茶や自然な甘みの「蜂蜜&キャラメル紅茶」など、時代のニーズに合わせた各種オリジナル茶葉を創作してきた。一方で、炭焙烏龍茶や凍頂烏龍茶などの伝統的な茶葉は今でも伝統技法にこだわり、龍眼の木炭を用いてひとつひとつの手順を守りながら、三日三晩つきっきりで焙煎しているという。時代を先取りする斬新な建物の中で、台湾茶道の悠久の文化が育まれているのだ。
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