台北のベジタリアン&ヴィーガン文化

健康的なベジタリアンとヴィーガンの食生活にハマる人はどんどん増えています。(写真/Nadine Primeau)
健康的なベジタリアンとヴィーガンの食生活にハマる人はどんどん増えています。(写真/Nadine Primeau)

【文/Francesca Chang】

【写真/鄧毅駿、Nadine Primeau、Taiwan Scene】

【編集/下山敬之】

ベジタリアンとヴィーガンは世界的なトレンドとなっていて、「ヴィーガニズム」というキーワードによる検索数は過去6年の間に7倍にまで増加しました。「ベジタリアン」や「グルテンフリー」も同様で、世界総人口の約8%の人たちがそうした食生活を実践していますが、それには動物愛護や環境保護、健康に対する意識の向上が深く関係しています。本記事では、台北でヴィーガンの推進を行っているMai Bach氏のお話をもとに台北のベジタリアン、ヴィーガン文化を探っていきます。

台北初のヴィーガン対応レストラン「Ooh Cha Cha 自然食」

南カリフォルニア出身のベトナム系アメリカ人であるMai Bach氏は、12年前に英語の講師として夫婦で台北に移住しましたが、もともとは一定期間が経過したら中国や東南アジアへ移住する予定でした。しかし、出国の少し前に読んだジョナサン・サフラン・フォア著の『Eating Animals』という本から肉を食べることが環境にどれだけの悪影響を及ぼすかを学び、菜食主義者としての生活を始めます。結果的にこの選択が再び台北へ戻るきっかけとなりました。

Mai Bach氏は植物性食品やベジタリアン、ヴィーガンの考え方が広まることを願ってOoh Cha Chaをオープンしました。
Mai Bach氏は植物性食品やベジタリアン、ヴィーガンの考え方が広まることを願ってOoh Cha Chaをオープンしました。

実際にアジアの諸国を巡ったMai氏ですが、菜食主義という文化が根付いている国がなく、食事の選択肢がほとんどありませんでした。

台北には菜食主義者向けのレストランが多いこともあり、Mai氏と旦那さんは台北に戻ることを決意します。その後は再び台北で英語講師の仕事をしましたが、その時に内容は不確定ながらもいずれは自分たちのビジネスを始めるという夢を持ちました。

Mai氏が菜食主義者として最初に取り入れたのは、生と未加工の食品を摂取するローフードダイエットでした。生の食品の定義には42℃以下の温度で加熱処理したものも含まれますが、台北にあるベジタリアンレストランは揚げ物や煮物も提供していたので、完璧に実践するには自炊が不可欠でした。その際、自身の作ったスムージーが職場の同僚に人気だったことを受けて、レストラン経営という構想へとつながりました。

Mai氏が2013年にオープンさせた「Ooh Cha Cha 自然食」というお店は、サスティナビリティを考慮し、健康的で、動物を傷つけず、フェアトレードによる仕入れにこだわり、コミュニティを大切にするという5つ経営理念に基づいて運営されています。その斬新な試みや強いこだわりから台北全体で注目されている他、社会的な価値があると認められた会社の証であるBコーポレーションの認定も受けています。台湾でこの認定を受けたレストランはOoh Cha Cha以外になく、初の事例としても話題を呼びました。

Ooh Cha ChaのMRT科技大楼駅付近の店舗には広々としたイートインスペースがあります。
Ooh Cha ChaのMRT科技大楼駅付近の店舗には広々としたイートインスペースがあります。

Mai氏の望みは全ての人がヴィーガンを実践することではなく、肉を食べる人が摂取する頻度を減らすことだけです。ローフードにすると健康的な利点があるだけでなく、地球温暖化など環境問題の緩和にもつながります。こうした考え方を推進する意味合いも込めてビジネスを行っています。

ベジタリアンのための都市

台湾は人口の35%が仏教徒で、宗教上の教えから菜食主義を実践してきた人たちも少なくありません。また、民間信仰や文化的な習慣から肉断ちをすることもあります。例えば中華圏では神仏に願掛けをする際に肉を断つという民間信仰があり、毎月特定の日や一定期間は野菜中心の生活をします。

このような背景からレストランでは当たり前のようにベジタリアン用のメニューが提供されており、健康法として普及するのも早かったというのが実情です。

現在、台湾には6千軒を超えるベジタリアンレストランがありますが、各国と比べてヴィーガンやベジタリアンの食品表示規定が厳しく、国内の菜食主義者の数も約200万人に上ります。他にも月曜日にはベジタリアン関連の食品が割引になる「ミートフリーマンデー」というコンセプトも広く浸透しています。

台北には以前からベジタリアン向けのレストランがあり、台湾の伝統料理をアレンジして提供しています。(写真/Taiwan Scene)
台北には以前からベジタリアン向けのレストランがあり、台湾の伝統料理をアレンジして提供しています。(写真/Taiwan Scene)

そんな環境下で生まれた台湾のベジミートは高品質で世界的にも人気があります。ベジミートとは大豆などを材料として本物の肉の食感、風味、外観を再現した食品です。Mai氏も「アメリカに住む母もベジタリアンですが、食料品店で台湾製ベジミートを探すほど高い品質でした」と話しています。このように台北は菜食主義者たちにとって暮らしやすい環境が構築された都市なのです。

台北のヴィーガンムーブメント

比較的簡単に受け入れられたベジタリアン志向とは違い、ヴィーガンは定着するまでに時間がかかりました。なぜなら、ヴィーガンは動物愛護の精神から動物性食品はもちろん卵やハチミツのような畜産副産物を口にすることも避けるためです。

そんな中、ヴィーガン志向が台北に流行したことには、若い世代の活躍が大きな要因でした。若者の中には環境問題に対する意識が高い人も多く、ヴィーガンの考え方とも一致します。その中でも特に大きく貢献したのがMai氏も感銘を受けた「夠維根Go Vegan」と「找蔬食 Traveggo」というYoutuberで、こお2名の動画を中心に共感する人が増えていきました。そこから、台湾青年気候聯盟など各地の若者が結成した組織が、政府に対してサスティナブルでエコな活動をするよう働きかけるようになり、ヴィーガンの考え方が認知されるようになりました。

環境問題への意識向上やヴィーガニズムの認知向上を受けて、台湾ではヴィーガンレストランが増えることが予測されています。すでにスターバックスを始めとするカフェでもオーツ麦ミルクやナッツミルクが使用されていますし、香港の有名なフェイクミートのブランド「OMNIPORK」も台湾へ展開を始めています。OMNIPORKは卸や小売、レストランのチェーン展開をしていますが、すでに台湾各地でお店を開いていますし、コンビニでも商品を直接販売しています。さらに台湾の有名な餃子チェーン「八方雲集(バーファンユンジー)」とも提携し、特別メニューを提供するなど大きく展開しています。また、台湾のコンビニにはヴィーガン専用コーナーがあり、愛維根蔬食超市(アイウェイゲンスーシューチャオシー)などのヴィーガン向け食料品店や聖徳科斯(ションダーカースー)、里仁(リーレン)といったオーガニック系スーパーでも輸入されたヴィーガン製品が取り扱われています。

台湾では現在、大規模なヴィーガン向けの催事も開催されていて、食品だけでなく衣料品やアクセサリー、スキンケアブランドなど動物愛護や環境問題に関連するすべてのビジネスが会場に集結します。

台北におけるヴィーガン・ベジタリアンの現状

Ooh Cha Chaのオープン以降、台北ではヴィーガンレストランの数が急増しています。2013年から2015年にかけては5軒しかありませんでしたが、現在では100軒近いお店があります。規模の小さい店舗も多いですが、流行の中心である台北に続々とお店が増えていることをMai氏も喜んでいます。

お店のスタイルも多様化していますが、その中でもMai氏がおすすめするのは穂科手打烏龍麺とBeganHoodの2軒です。他にもミシュランの星を獲得した有名レストランや高級レストランのヴィーガン料理、純素天堂(チュンスーティエンタン)というベーカリーやアイスクリーム店のNice Creamが開発して大ヒットした大豆を使った製品もおすすめです。これは牛乳アレルギーの方向けに代替品として豆乳を使ったことがきっかけで生まれました。

ヴィーガンレストランでは洋食が中心となっていますが、台湾の伝統料理である三杯鶏や麻婆豆腐を改良したり、夜市の屋台でも40種類以上ヴィーガン対応のメニューが販売されるなど大きな変化が見られます。

このように台北ではヴィーガン文化が着実に成長しており、世界中の旅行者が「アジアにおけるヴィーガンの聖地」と認めていることも納得です。

台北のヴィーガンレストランは今後も増えていきますし、政府の働きによって環境問題への意識も高まっていくことでしょう。Mai氏が「誰もが1日1回、もしくは週1回でも植物中心の食生活をしてもらえたら地球を救うきっかけになります」と語るように、肉を使わない食生活にはメリットがありますので、ぜひこれを機に食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

ヴィーガンの浸透に合わせて、Ooh Cha Chaではケーキやドリンクなど様々なジャンルのヴィーガンレシピを考案しています。
ヴィーガンの浸透に合わせて、Ooh Cha Chaではケーキやドリンクなど様々なジャンルのヴィーガンレシピを考案しています。

簡単ヴィーガンレシピ:スクランブル豆腐

Mai氏が考案したCO2排出量を削減できるヴィーガン向け朝食メニューを紹介していきます。

材料:

● やわらかい豆腐 1パック

● マッシュルーム 1/3個

● トマト 1/3個

● タイム 小さじ1/4

● パプリカ 小さじ1/4

● みりん 小さじ1/4

● ターメリック 小さじ1/2

● ブラックソルト 小さじ1/2

● 岩塩&黒コショウ(味付け)

● ニュートリショナルイースト 小さじ1杯

● 植物油 小さじ2杯

● ヴィーガン仕様のオランデーズソース(お好み)

作り方:

手順1:豆腐を手でほぐします。(ヒント:豆腐の水分はしっかり取っておきます。)

手順2:細かくした豆腐にタイム、パプリカ、みりん、ターメリック、ブラックソルト、ニュートリショナルイーストを加えて手で混ぜます。

手順3:油をしいたフライパンでマッシュルームを加熱し、水分を飛ばします。

手順4:上記にさいの目に切ったトマトを加えて炒めます。

手順5:豆腐も加えて色が黄色からオレンジに変わるまで炒めます。この時、鍋底からすくい上げるようにしてかき混ぜましょう。

手順6(お好み):ヴィーガン仕様のオランデーズソースをかけたら完成です。

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